大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪高等裁判所 昭和54年(行コ)44号 判決

姫路市飾磨区細江一一二番地

控訴人

中央商事株式会社

右代表者代表取締役

井上安友

右訴訟代理人弁護士

水田博敏

右同

吉川武英

同市北条字中道二五〇番地

被控訴人

姫路税務署長

伊藤久男

右指定代理人

高須要子

右同

森江将介

右同

城尾宏

右同

長田龍三

右当事者間の頭書控訴事件につき、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

一、本件控訴を棄却する。

二、控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

第一、当事者の求める裁判

一、控訴人

「一、原判決を取消す。二、被控訴人が、控訴人の昭和四七年九月一日から同四八年八月三一日までの事業年度分法人税について、昭和五〇年六月三〇日付でした所得金額を金一億七、四八四万六、〇〇〇円、税額を金六、八二八万一、一〇〇円とした更正処分(ただし、裁決で一部取り消された後の金額)のうち、申告額である所得金額一七万七、七一六円、税額四万九、五〇〇円を超える部分、及び過少申告加算税金三四一万一、五〇〇円の賦課処分(ただし、裁決で一部取消された後の額)をいずれも取消す。三、訴訟費用は一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決。

二、被控訴人

主文同旨の判決。

第二、当事者の主張

一、当事者の主張、証拠関係は以下のとおり訂正、附加するほか、原判決事実摘示のとおりであるから、これをここに引用する。

原判決四枚目裏八行目の「帳簿処理された」を「帳簿処理した」と、同末行の「原告とした」を「原告にした」と各訂正する。

二、控訴人は「一、本件土地は昭和三七年九月九日小村産業株式会社から井上惣次郎が代金一、二八一万七、〇〇〇円で買受けたものであつて、控訴人が買受けたものではない。二、本件土地の買入、売却、管理の諸費用はすべて右井上が支払つており、控訴人の会計帳簿上に計上されていないこと、本件土地の造成を右井上自身がなしたことからいつても、控訴人は本件土地の名義上の所有者に過ぎない。」と述べた。

三、被控訴人は、「一、本件土地を買入れ、売却したのは控訴人であつて井上惣次郎ではない。二、仮りに小村産業株式会社から買受けた者が井上惣次郎であるとしても、昭和三八年七月一日本件土地を右井上が控訴人に譲渡したものであるから、本件更正処分が違法となるものではない。三、本件土地は昭和三七年一二月二〇日頃には既に宅地化され、終始控訴人が管理支配していたもので、その実質的所有者は控訴人である。」と述べた。

第三、証拠

一、被控訴人

(一)  乙第一八ないし第二〇号証を提出。

二、控訴人

乙第一八、第一九号証の原本の存在と成立、第二〇号証の成立をいずれも認めた。

理由

一、当裁判所も原判決と同様控訴人の本訴請求を棄却すべきものと判断する。その理由は次のとおり訂正、附加するほか原判決理由説示のとおりであるから、これをここに引用する。

原判決八枚目表四行目の「取得したとした」を「取得したとする」と、同行の「譲渡したとした」を「譲渡したとする」と、同裏一二、三行目の「ところ、」を「こと、」と、同一三行目の「右代金額」を「右のとおり代金額」と、同九枚目表一行目の「ところから」を「ことから」と、同一〇枚目表七行目から一一枚目表一一行目まで全部を「証人井上猪十郎の証言中には右原告の主張に副う部分があるが、これらの証拠は成立に争いのない乙第一五号証の二、証人河野恵一の証言に照らし、にわかに措信できず、他に前認定を覆えすに足る的確な証拠がない。」と、同一一枚目表末行の「取得し」から同裏二行目の「土地を」までを、「取得し、これを昭和四八年四月五日、パーカー加工株式会社に対し」と、各訂正する。

二、当審で新たに取調べた原本及び成立に争いのない乙第一八、第一九号証、成立に争いのない甲第二〇号証は、これに原判決挙示の各証拠を総合すると、前示原判決認定の事実を認めることができ、これを左右するものではない。

三、よつて、控訴人の請求を棄却した原判決は正当であつて、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民訴法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 下出義明 裁判官 村上博巳 裁判官 吉川義春)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例